月額1000円程度で、海外ドラマや映画が見放題になるネットフリックスというサービスをご存知ですか?
アメリカで今最もテレビ業界に革命を起こしていると言われるネットフリックス。そのサービス内容は単純で、月額1000円を払えばネットフリックスに登録されている海外ドラマや映画が見放題…という、いわゆる定額の動画配信サービスです。
通常、動画配信サービスを行うだけの形態が多い定額動画配信サービスですが、なんとネットフリックスは独自でお金を出し、オリジナルドラマを制作して、しかもそれが大ヒットを記録したというのですから、まさに驚きです。言う慣ればハードもソフトも自社で作って売れるニンテンドーDS全盛期の任天堂のようなものですね。
米国で大変な支持を受けて、現在、世界に進出中のネットフリックスですが、Huluに引き続き、日本にも上陸しました。
…が、ネットフリックスは日本においては、いまいち流行っていないようです。
ゲオやTSUTAYAの最大のライバルになる予定だったネットフリックスですが、なぜここまでポンコツな黒船になってしまったのでしょうか?
そこには、日本ならではのギャップがあるようです。
DMMが流行ってネットフリックスが流行らない理由
有料ケーブルテレビが一般的なアメリカと違って、日本ではテレビ=無料という印象が強いです。映画やドラマを見たい時は、TSUTAYAでDVDを借りて…というのがお決まりのパターンでしたが、Huluやネットフリックスは、この流れを壊してくれるのでは? 自宅にいながら、定額で映画やドラマを楽しめるのでは? とユーザーの期待を一心に受けていました。
しかし、結局のところ、コンテンツは中途半端で、利用して3ヶ月もすると「もう見るものないし解約しよう」と飽きられてしまう始末。実際、私もWiiUを購入した暁にHuluに加入してみたのですが、ある程度の映画と、海外ドラマ「DrHouse」シリーズ、バーン・ノーティスシリーズ、アニメの「ベイビーステップ」を見終わったら、他に見るものが無くなったので解約してしまいました。
動画配信サービスにとって、一番重要なのはコンテンツを絶えず供給して、人気作を供給することです。
しかし、日本では権利関係が複雑で、アニメ一つとってもバンダイチャンネルなどの他社に押され、さらにニコニコ動画の無料配信、動画サイトでの違法配信などで「検索すれば無料で観れる」という選択肢が多く、わざわざコンテンツが不十分な動画配信サービスに金払う必要無いよね…という悲しい結果になりました。
そうなると、期待出来るのが海外ドラマですが、こちらも権利関係からか、Seasonの途中までしか配信出来なかったり、とてもコンテンツ豊富とは言えません。映画に関しても、いまいち品揃えが悪く、結局、持って半年のサービスとなってしまいました。
Huluは早々に身売りをしてしまいましたが、そこに満を持してやってきたネットフリックスも、おそらく日本市場からは撤退するでしょう。
ネットフリックスの戦略の肝であるオリジナルコンテンツも、よりによってフジテレビのテラスハウス…。テラスハウスを見る層は、わざわざ有料の動画配信サービスに登録してまで見ないでしょう。
日本において、動画配信サービスで成功しているのがDMMです。
まあ、DMMはゲームや男性向け動画などがメインなので、動画配信サービスとは言いがたいのですが、確実に需要がある層を取り込んでから多角化する…という手堅い手法をとっているので、少なくとも経営的には安泰でしょう。
また、DMMは艦隊これくしょんというオリジナルブラウザゲームをヒットさせており、オリジナルコンテンツのヒットというネットフリックス同様のマーケティングを成功させています。
ネットフリックスは日本の文化に対してどこまで造詣が深いのか不明ですが、とても外国人に「ヒットする萌えコンテンツ」は作れないでしょう。しかし、有料動画配信サービスというコアなサービスは、オタク層と一番マッチングしているのですが、そこを取り込めないようではネットフリックスの日本での普及は難しいでしょう。
海外ドラマの充実+オリジナルアニメをヒットさせれば勝機はある
ネットフリックスがこの先生き残るには、海外ドラマを充実させることorオリジナルアニメでヒットを出すことでしょう。
海外ドラマは、日本ではBSなどマイナーなチャンネルでしか見ることが出来ません。しかしながら、海外ドラマのファンは「24」「LOST」などを堺に増えていますから、ネットフリックスに海外ドラマが充実してくればユーザーは徐々に増えていくでしょう。
また、オリジナルアニメをヒットさせれば、オタク層から一般層まで知名度が波のように広がる可能性は高くなります。
アニメ業界は制作費の中抜きが激しいため、制作資金と配信プラットフォームを求めている会社はたくさんあります。ネットフリックスがスポンサーとなってオリジナルアニメを作ってヒットさせれば、ブルーレイディスクの販売という古臭い収益体質から脱却して、よりアニメ制作がやりやすくなるでしょう。
もっとも、アニメの制作には1クールでも億単位のお金がかかる事がざらで、ヒットアニメを出すのも非常に難しいですから、ネットフリックスがそこまでアニメに投資するか? というと眉唾ものです。
日本のアニメは大人の物、という感覚は、外国人には理解出来ないでしょうし難しいかもしれません。(海外ではカートゥーンは子供向けとされています)
あとは、海外ならではの規制の厳しさもあり、日本で作ったコンテンツを世界で使いまわせないのであれば、割にあわないと見るでしょう。
TSUTAYAはまだまだ生き残るでしょう
結論から言うと、今のままでは日本で定額の動画配信サービスは流行らないでしょう。
今回、紹介したHuluですが、3ヶ月程度、暇つぶしに使うのであればオススメです。「クリミナル・マインド」や「LOST」が無いことには憤慨しましたが、DrHouseがSeasonラストまで入っていたので、元は取れたと思います。
初月無料なので、気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。
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散々、ネットフリックスをぶっ叩いてしまいましたが、定額の動画配信サービスに加入していると、週末に何となく映画をダラダラ観ることが多くなるので、映画に対する知識や新しい物語に出会える確率は上がります。
私もHuluに入ってなかったら映画「ミスト」や「トップガン」に出会うことはなかったでしょう。
↓ミストのレビューです。ネタバレ有りwww.hazimetetensyoku.com
一長一短なサービスですが、映画好きの方は体験で入ってみるのも良いかもしれませんね。