日本人は肌色による差別はないが無職や非正規雇用に対する差別は存在する

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ミズーリ州で黒人の青年を白人警官が射殺した事件の中で、オバマ大統領が「日本には日本人しかいないから差別がない」と言及していた。しかし、日本は人種の差別が比較的少ないが、無職や非正規雇用に対する差別は未だに存在する。
例えば事件が起きた時にまず疑われるのは無職だし、非正規雇用だからという理由で結婚に反対されることも多い。なぜ日本人は職に対しての差別が多いのか? その背景には多くの偏見と先入観が存在している。


無職や非正規雇用が許されないという風潮

無職や非正規雇用に対して厳しく当たってくるのは、40代以降の世代が多いように思われがちだが、実際は20代30代の若い世代での差別が多い。その背景にあるのは『派遣切り事件』と『秋葉原通り魔事件』の与えた衝撃だ。
派遣切り事件とは、2008年に起きたリーマン・ショックによって派遣社員が一気に雇い止めになり、行き場を失ってホームレス化した(実際にはそうではないが、ニュースではそのような印象を与える報道をしていた)出来事だ。
当時、派遣社員は負け組、派遣社員になるとホームレスになる、という派遣叩きの報道が多く、それがきっかけで20代30代の『正社員でなければ負け組』という思考がより一層固まってしまった。非正規雇用というワードが負け組の象徴となり、非正規雇用の男性は結婚対象外とまで言われるようになった。
また、同年に起きた秋葉原通り魔事件の犯人、加藤智大が元派遣社員だったことから、非正規雇用と無職は犯罪者である、という流れが完全に出来上がってしまった。
また、ニュースでも犯罪者の多くは職業不定や無職、非正規雇用といった経済的に不安定な人々が多く、結局のところ、正規雇用者以外は怪しまれる社会になってしまっているのだ。
これは格差の大きい先進国で起きる職・社会的地位による差別であり、貧困層の多い東南アジアなどではあまり見られない。いわゆる皆が貧乏な時代とは違い、中間層が普通となった現代で起きている差別である。
また、日本では無職や非正規雇用の場合、あまり人々と交流を持たない。非正規雇用は「派遣さん」と呼ばれたり、まるで機械の部品のように扱われたりと、先進国とは思えないほど冷たい扱いを受けている。人間的な扱いも受けれず、経済的にも不安では、犯罪にはしるのも仕方ないといえる。
しかし、日本の企業は正規雇用者のみを身内とみなし、非正規雇用は雇用の調整弁としか見なさず、そういった非人道的な扱いは『村社会』『身内に甘い』日本社会特有の差別形態といえる。

日本から人情は消えたのか

かつては貧しい者であっても社会に存在することを許されたが、今は貧しい者、職を持たない者を排除する社会になってしまった。先進国になればなるほど、綺麗な景色だけを映すために汚いものに蓋をしようとする。日本はアメリカのようにデモを頻繁にする文化もなく、社会から排除されれば引きこもるか自殺するしか道が無いように思える。
日本に今必要なのは、かつて下町に存在した人情文化ではないだろうか。貧しい人に手助けする者がいなくなった今の日本は、オバマ氏のいうような差別の存在しない国ではなく、見えない差別をする国だと私は思う。

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