新卒で入ってきた新入社員がタメ口をちょこちょこ使ってくる……これ、やってる本人からすれば「心を開いている表れ」なのかもしれませんが、やられている先輩社員側からすると、ちょっとイライラする問題です。
学生時代はフレンドリーで友人が多いタイプでも、社会人にとっては馴れ馴れしいだけ。学生と社会人の距離感は大きく異なります。言うなれば、新入社員と先輩社員の関係は先生と生徒。しかし、年が近いこともあり、優しく教育すると友達扱いされてしまうことも。
かくいう私も新入社員時代はタメ口社員でした。敬語は使うのですが、時おりタメ口が混じり、先輩社員に対して上から目線でアドバイスするなど痛々しい行動をしていました。
なぜ、新入社員のタメ口はこんなにもイライラするのでしょうか?
社会人の距離感について考えてみました。
社員同士の関係は友達ではなく共に戦う戦友
そもそも、学校のお友達同士なら利害関係がありませんから、タメ口でも問題ありません。逆に友達間で敬語を使うと「距離を置かれている」と思われてしまいます。そのため、新入社員はタメ口=フレンドリーの固定概念があります。
しかし、社会人に必要とされる距離感とはベタベタする友人ではなく共に苦難を乗り越える戦友です。
組織運営は、上下関係が曖昧だとうまく機能しません。ワンマン社長とその他平社員であれば、ワンマン社長のみ頂点であとは底辺ということで社員同士は横社会になりやすいですが、通常の組織では細かな階層が積み重なっている縦社会です。
この環境で新入社員だけタメ口を使うことを許せば、組織の上下関係が壊れてしまいます。つまり和を乱す、日本人の大好きな「空気を読め」「和を乱すなら村八分にするぞ」という話になります。
タメ口が悪いというよりも、ルール違反を許さないという反応に似ています。皆が並んでいる所に横入りされたら、後ろに並んでいる人は皆怒りますよね。そういった類のイライラが、新入社員のタメ口を許せない感情の正体です。
タメ口は決して相手を馬鹿にしている、下に見ている表れではありません。事実、高卒の同期は大卒の同期に対して敬語3割、タメ口7割でした。そして、敬語を使い慣れていないように見えました。
しかし、会社は仲良しクラブではありません。新入社員と先輩社員が戦友になるには、まず前提条件として上下関係など組織のルールを守らなければいけないのです。
新入社員のタメ口を止めさせるには教育が必要
そのため、新入社員のタメ口を止めさせるには、敬語を使う場面を増やしたり、敬語の語彙を教える必要があります。
「そこまで教えるのかよ!」
と先輩社員は思うんですよね。
ただ、素直な新入社員なら少しずつ敬語の使い方、使う場面を理解していきますし、面倒臭かったらマナー本を渡しておけばいいのです。
野球部などの体育会系ではタメ口の生意気な一年をボコボコにする、といった乱暴な教育があるようですが、会社でそんなことをしたら逮捕されてしまいます。
しかし、ある意味ではこういった恐怖と見せしめによる軍隊教育は一番分かりやすいので、その手法を取り入れている会社もしばしば見かけます。いわゆるブラック企業が多いのでオススメはしませんし、コンプライアンス的には真っ黒なのでどうかと思いますが……。
友情関係を作る時は、お互いタメ口のほうが距離感を縮めやすいです。
例えば「世界仰天ニュース」の司会をしている鶴瓶さんと中居さんは年が離れていますが、お互いにタメ口で仲が良いです。タメ口というのは年による上下関係などを排除して、フラットな関係を生み出すには、とても役立つ技術なんですね。
敬語はどうしても、かしこまった感じになり、コミュニケーションの際に負荷を覚えてしまいます。
ともあれ、新入社員には少しずつ敬語を学ばせていきましょう。
新入社員の教育にはコーチングの技術が役立ちます。もし後輩が出来て教育しなければいけない立場になったら、コーチングの本を買って勉強をしましょう。初心者にオススメのコーチング本はこちらです。
きほんからわかる「ビジネスコーチング」―図解 (East Press Business)
教育をしなければ、いつまでたってもタメ口は治りません。教育を受けないと、人は学ばないのです。
40代のパートのおばさんが上司に対して「はい」ではなく「うん」を使っているのを見ると、強くそう思います。