勤めている会社の業績が悪化してくると、退職したり次の仕事を探したくなる方が多いのではないでしょうか。しかしながら、すぐに退職してしまってはいけません。何故なら会社の業績が悪化しているという事実があったとしても自ら辞めてしまえばそれは自己都合退職になってしまうからです。
そうなると転職活動そのものだけでなく雇用保険の受給も不利になってしまいます。またそれだけでなく、退職した後に早期希望退職制度が実施される可能性だってあるのです。当たり前のことですが早期退職制度を使い退職するのと、ただ自己都合で退職するのであれば、早期退職制度を使った方がいいですよね。
焦ってしまうとそういった機会も見逃してしまいがちです。そこで今回は業績悪化を理由に退職する際の注意点についてお伝えします。
退職するタイミングは冷静に見極めよう
社内の雰囲気ってありますよね。
例えば業績がいい時はみんなニコニコしていて、全体的にいい感じになっているでしょう。ところが業績が悪くなると上司が不機嫌になってしまったり、そういったことです。この雰囲気も会社の業績を判断する際の物差しになるでしょう。
そして社内の不穏な空気があったとしても、すぐに退職してはいけません。何故なら冒頭でもお伝えしたようん、会社側から早期退職についての打診があったり、会社側からのリストラでない限りは自己都合の退職になってしまうからです。
ですから退職の判断は冷静に見極めて決めなければなりません。焦って退職してしまっても出戻りすることは出来ないのですから。
倒産するまで待つ方がいい場合がある
先ほどもお伝えしたように、倒産まで待った方が得する可能性があります。ですから会社が沈みかけている船だと分かってとしてすぐに飛び降りてはいけません。冷静に最善のタイミングを見極めなければならないのです。
仮に自己都合で退職してしまって、転職の際に面接で業績不振を理由にといくら話したところで、あなたが辞めたくて辞めたんでしょう、という採用担当からの目線は変わりません。自己都合退職なのか、会社都合退職なのか、という切り分けが重要になるのです。
また雇用保険の受給期間にも大きな違いが出てしまいます。自己都合退職であれば90日間しかもらえない雇用保険が、会社都合で30歳未満であれば120日間もらえます。また、30歳以上であればさらに2ヶ月分足されて、180日間受給できるのです。つまり、30歳を越えていて尚且つ会社都合退職に出来れば、合計で失業保険の金額が2倍になるということなのです。この違いは大きいですよね。
退職した後に資格試験の勉強などを考えている場合は、特にこの制度には助けられることになるでしょう。ですから倒産を察知したとしても焦らずに、退職時期は慎重に考えましょう。
会社に残るという少数派の選択をしてみよう
ここまで退職に焦点を当ててお伝えしてきましたが、業績が悪くなってくると本当に退職以外の選択肢は無くなってしまうのでしょうか。実はそんなことはありません。思いがけずに業績が回復したり、急にどこかの大手企業に買収されたり、業績がいきなり変化する可能性だってあるのです。
ではここからは実際に早期希望退職制度が周知されながらも、踏みとどまり、見事昇進を遂げたBさんの事例をご紹介しましょう。
Bさんは当時29歳、新卒で入社した会社の勤続7年目でした。安定的に働いてきたのですが、景気の煽りを受け、会社の業績は急激に悪化。会社からは早期希望退職制度の活用を促進する周知が大々的になされました。
退職手当は7桁近い金額が提示されていました。結果として新卒の同期の半数以上は退職していったのですが、退職しても特にあてがなかったこともあり、Bさんは踏みとどまりました。同期からはバカな選択だと言われたそうです。
その後1年間は減給もあり、暗い日々を過ごしたのですが、早期希望退職から2年後、会社は新しいサービスを続々とリリースして一気に業績は回復。
昇進争いで競争するはずだった同期はほとんど退職していたので、30代前半という若さでありながら部門のかなり重要な役職に就くことが出来たのです。捨てる神あれば救う神ありですから、退職していった方々が損をした、という話ではありません。
しかしながら最悪の状況だからこそ、踏みとどまることを考えるのも重要です。少数派の選択をすることが人生を好転させる場合が、世の中にはあります。冷静に見極めて、会社にまだ将来性がありそうなら、残留という選択も検討しておきましょう。
……とはいえ、やはりBさんのケースはレアケースであり、ほとんどの人は泥船から逃げ出すように転職をするでしょう。
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