テレビでたびたび特集される大家族モノ。こういう番組では決まって子供が5~6人おり、その大体が中卒か高校中退をしてしまっている。おまけに10代で妊娠したりと、貧困の連鎖を食い止めるどころか子供の世代~孫の世代まで貧困を助長する方向へ動いている。
というのも、10代前半の子供にとって、価値観の基礎は家庭しかないからだ。
そして、その基礎を作る親の教育リテラシーが低い場合、その子供の価値観も親と同様、狭い世界観にとらわれたものになってしまう。
なぜ大家族にまともな親が少ないのか?
では、大家族の親でまともな人が少ないのはなぜなのか? それは、子供を大勢作る親は精神的に子供に依存していることが多いからである。
今日放送された大家族モノの母親など典型的で、家族に虐げられてきた背景から、自分を必要としてくれる無垢な子供(幼児)に依存してしまい、次々に子供を作ってしまっているのだ。
それも、依存対象は幼児でなければならず、一人立ちした子供では満足出来ない傾向が強い。子供の数を絞り、教育資金を計算して一人ひとりの教育の質を高めるということは考えていない。自分を必要としてくれる家族そのものを求めているのだ。
その考え方が不健全であり、貧困の連鎖を引き起こしていることに気づけない。母親、父親のエゴ、それこそが大家族モノにおける貧困の大本なのだ。
似たもの同士が惹かれ合い連鎖は続く
大家族に生まれた子供は、同じような境遇の異性、つまり大家族の子供に惹かれることが多い。大家族で育ち、親の価値観に染まった子供は自分達の家庭環境が異常だと拒否する人間に惹かれない。逆に同じような環境、教育リテラシーを持った者に惹かれ、結婚し、再び大家族を量産する。
こうやって連鎖は続いていく。離婚や連れ子が自分達の家庭では普通だから、躊躇なくそれを選択する。
親がこうやっていたから私もやる、という理屈がそのまま通ってしまう。自分の家庭や親に疑問をもたない良い子ほど、親と同じ価値観で物事を選択してしまうのだ。
自立しても搾り取られ続ける
運良く自立し、お金を稼げるようになっても、今度は親に金を無心されたり、子供の世話で呼び出されたりと、今度は頼りにされてしまい真の意味で自立出来なくなってしまう。アフリカの家庭と一緒で、子供を労働力として活用しているフシがあり、子供もまたそれに答えてしまうのが悲しいことだ。
グレて親元から逃げても罪悪感に悩まされる
逆に他の家庭と比較して、自分の家庭環境に疑問を持ち、グレて家出をしても結局親の元に帰ってきてしまう。
それは、親から逃げられない兄弟たちを差し置いて、自分だけが逃げていいのか? という罪悪感からだ。グレて逃げられる人は長男長女が多い。年齢的に最も自立が早く、自分達の環境に疑問を抱けるからだ。
しかし、どんなに貧困の連鎖から逃げようとしても、幼い兄弟は逃げようがない。
結局、親を憎めど同じ環境で耐えている兄弟たちの気持ちが分かるから、一度逃げても戻ってきてしまうことが多い。テレビではそれを感動の再会などと持ち上げているが、実際、家族の束縛に再び捕まっただけの話で、何も感動的ではない。
稼げない子供を増やす事が少子化対策ではない
お金の教育リテラシーが異常に低い大家族の子供達は、将来的に税金をおさめる額も少なくなる。官僚たちは少子化対策に躍起になっているが、貧困層の子供たちを増やすことが少子化対策ではない。
それはアフリカやフィリピンなど単純労働の需要が高い発展途上国が行うことであって、先進国で行っても税制上プラスになるとは言いがたい。
子供にとって親が普通であり基準
大家族モノを見ていると、やはり家庭という社会的基板が与える影響は大きく、どんな優秀な子供であっても教育を受けなければ優秀な子ではなく都合のいい子になるのだと心底思った。
彼らにとって教育リテラシーの話は川の向こう側のお話であり、自分達には関係のないことだと決め込んでいる。それは狭い世界で生きてきた弊害であり、彼らもまた身勝手な親の被害者なのかもしれないと私は思った。
追記:2015年も相変わらず大家族特集
この手の大家族番組は一定の需要があるのか、相変わらず2015年も大家族特集をやっています。
どんなに明るいBGMを流しても、ナレーターに「愛情たっぷり」と言わせても、貧困は悲しく、子供の表情は辛そうです。
小学生や中学生が「給料」を口にする家庭ってどうなんでしょうね?
あと家計苦しいと言っているのにスマホを持っているのって……相変わらず貧困の元は『お金に対する知識』の差だな、と思いました。
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もしよろしければ参考にして下さい。